カルソの石灰岩が刻み込まれた、緊張感と透明感を備えた唯一無二のマルヴァジア。
カンテは、トリエステ近郊カルソに拠点を置く、イタリア屈指の白ワイン生産者。
1840年頃からこの地でワイン造りを続ける一族であり、現オーナーのエディ・カンテはカルソDOC認定の立役者であり、初代コンソルツィオ会長も務めた人物です。
カルソはローマ時代からワインが珍重されてきた土地で、石灰質の岩盤が地表近くまで露出する極めて痩せた土壌と、ボーラと呼ばれる冷たい北風によって、他に類を見ないテロワールを形成しています。
この環境により樹勢は自然と抑えられ、低収量ながらも凝縮感とミネラルに富んだブドウが得られます。
DOCの枠に縛られず本質的なワイン造りを行うため、現在は多くのワインをIGTとしてリリース。
イタリア9ha、スロヴェニア6ha、計15haの畑を国境を越えて所有しています。
12ヶ月間旧バリックで熟成後、ステンレスタンクで6ヶ月安定。
濾過せずに瓶詰めされ、SO₂は瓶詰め前にごく少量のみ添加。
象徴的なのが、カルソの岩盤を15m掘り下げて造られた地下セラー。
自然な温度・湿度差を活かし、ステンレス、バリック、大樽を階層ごとに使い分けています。
このセラーにより、人工的な温度管理に頼らない、長期熟成を前提としたワイン造りが可能となっています。
レモングラスやライムを思わせる柑橘のアロマに、白い花のニュアンス。
時間とともにフローラルな香りが重なり、石灰質由来のミネラルが輪郭を与えます。
しっかりとした酸が全体を引き締め、非常にフレッシュで直線的な印象。
テクスチャーと調和に優れ、開くまでに時間を要する点も含め、評論家に「シャブリのよう」と評される理由が明確に感じられます。
生ガキ、白身魚のカルパッチョ、ハマグリやアサリの酒蒸しなど、塩味とミネラルを活かした料理と好相性。
イカやタコのマリネ、フェンネルや柑橘を使った魚介料理もおすすめです。
和食では、白身魚の昆布締め、薄塩の焼き魚、貝類のお吸い物と非常に美しく寄り添います。
マルヴァジアという品種を超えて、カルソという土地そのものを味わう一本。
シャープさ、緊張感、熟成ポテンシャルを兼ね備えた、イタリア白ワインの最高峰のひとつです。