ヘロン・ヴィンヤードはソノマ・マウンテンAVA 内のわずか0.6 ヘクタールの小さな敷地で、開墾当初はハリー・クリート氏(Harry Crete)が所有していました。
ここに、メキシコ オアハカの出身でアボカドの栽培に精通していたルディー・ロドリゲス氏(Rudy Rodriguez)が、1969 年に初めてブドウを植樹します。
1970 年代から80 年代にかけて、実ったブドウはマイク・ベンジガー&メアリー夫妻(ベンジガー・ワイナリー)が購入していました。
1989 年にフィリス・ヘロン氏(Phyllis Herron)がクリート氏から畑を購入し現在に至ります。
この畑の栽培責任者はロドリゲス氏の甥、セルヴァンド・ロドリゲス氏(ServandoRodriguez)です。
1969 年当初から現在まで継続して有機栽培でブドウを管理している珍しい畑です。
このワインの醸造は至ってシンプルです。
家族と友人達の手を借りて手作業でブドウを収穫しました。
圧搾後、発酵は旧樽で行い、澱と共に熟成させました。
最小限の亜硫酸塩を加え瓶詰めしました。
カリフォルニアのナチュール・ムーヴメントを切り開いた先駆者「スコリウム・プロジェクト」のアシスタント・ワインメーカーとして長年活躍したアレックス・ピッツ(Alex Pitts)が独立し、レオ・スティーンで醸造を学び、ナパでミシュラン三つ星の「メドーウッド」でソムリエをしていたマーティン・ウィンター(Martin Winter)とタッグを組んで2012 年に設立したブランドです。
2019 年には米国の全国紙『San Francisco Chronicle』にて、Winemakers to Watch(最も注目すべき醸造家)に選ばれ、今最も勢いがある若手コンビです。
人為的介入を最小限に抑え、畑の個性を最大限に引き出す醸造を心がけながら、高品質でユニークな「カリフォルニアらしい」ワインを造ることがモットーです。
彼ら独自のネットワークを使い、有機栽培はもとより、まだ注目されていない自根の古樹や、灌漑を行っていない畑を探し当て、土着酵母のみを使用した醸造を行うことでブドウ品種本来がもつ旨味と個性をしっかりとワインに反映させます。
「メートル・ド・シェ」はフランス語(主にボルドー)で醸造責任者を意味する言葉です。
現在では独立して自身のワイナリーの経営だけで生活ができるようになりましたが、「メートル・ド・シェ」設立当初は二人とも別のワイナリーの醸造責任者やアシスタントとして仕事を掛け持ちしていました。
そんな苦しい中、自分たちにセラーで働くチャンスを与えてくれて、醸造や栽培の知識を共有してくれた恩師がいたからこそ現在の自分が居るという意味で、労いの気持ちを表現したブランド名です。
つまり、「メートル・ド・シェ」とはアレックスとマーティンがワインの業界に入るきっかけとなった役職名であり、彼らの原点なのです。
1883 年に描かれたイラストがラベルに採用されていて、ローマ神話における自由の女神「リーベルタース」とカリフォルニアのシンボルであるハイイログマが乾杯をしています。
カリフォルニアが州旗としてハイイログマを採用したのが1911 年なので、この絵はその前に描かれたものになります。
樽の側面にはゴールドラッシュ発生時(1848 年)に長い道のりを経てアメリカ西海岸にたどり着いた帆船とクワを持つ労働者が描かれています。
もともとのオリジナルのイラストには樽の側面に「見つかった!」を意味する「Eureka」の文字があり、ワイン木箱の側面にはそれぞれ「Mission」、「Pineau」、「Riesling」、「Zinfandel」と書かれていましたが、そのままでは米国酒類タバコ税貿易管理局からの許可が降りなかった為、「Eureka」の文字を削除し、木箱の側面には実際に中に入っているワインに使われたブドウ品種が記載されています。