様々な種類の野生のベリー類の香りに、ラズベリー、プラム、そしてシガーの箱のようなスパイシーな香りもあります。ボディはミディアムからフルボディで、ブラックベリーのジャム、バニラ、タバコの葉が層をなしています。余韻にはスパイス、バニラ、そしてロースト香といったオーク樽由来の香りを感じます。タンニンはしっかりとそして完熟しており、うっとりとするような長い余韻があります。このワインには、様々な土壌のタイプと温かい気温が組み合わさり、ワインにたっぷりとした味わいとバランスを与える、カリストガとナパ・ヴァレー内のポープ・ヴァレーの古樹から収穫されたプティット・シラーを使っています。生育期の初めに十分な降雨量があったので、畑の水分量も保たれ温度も低いまま春を迎えました。夏の気温は高く、日中は熱波に数回襲われましたが、ブドウの生育にとって理想的な気候は夏の終わりから秋まで継続されました。収量は平均的もしくは僅かに少ないぐらいでしたが、果実の質は素晴らしいものでした。そのおかげで、フレッシュな酸、テクスチャー、ストラクチャー、そして洗練さを併せ持つワインに仕上がりました。このプティット・シラーは、うっとりするような香り、インクのように濃い色、凝縮されたタンニン、そして美しく溶け込んだバランスの取れたオークのニュ
アンスを求めるコアなファンがいる商品です。
また熟成に使用される樽は「フュージョン・バレル」と呼ばれ、ジラードでの樽熟成には欠かせないものとなりつつあります。ワールド・クーパリッジ社がジラードの醸造家のスペックに合わせて製造するカスタムデザインの樽で、異なる種類のオーク材を組み合わせて1つの樽を作り、ワインに希望通りの複雑味とニュアンスを与えることができる、特注の樽なのです。フレンチ、アメリカン、ハンガリアン・オーク材を使用したフュージョン・バレル(新樽40%)で16か月ナパの老舗ワイナリーを元ソムリエのパット・ロニーが2000年に引き継いでから、現在のジラード・ワイナリーの歴史が始まりました。オーナーであるパット・ロニーのキャリアは、シカゴにあった伝説のレストラン「パンプ・ルーム」のソムリエに始まりました。その後、出身地であるカリフォルニアに戻りワイナリーで働き、最終的にはシャトー・セント・ジーンの社長にまで上り詰めました。またDean&Delucaの経営にも参加するなど食文化に精通した彼が、新しい世紀に入って始めたワイナリーがこのジラード・ワイナリーです。パットの人脈を生かし、自社畑をはじめナパ・ヴァレーのヴァレーフロアから山岳地帯まで、幅広いレンジの銘醸畑から高品質のブドウを調達し、それらのブドウから多様性あるナパ・ヴァレーの本質を表現するワインを造っています。カベルネ・ソーヴィニョンはもちろんのこと、マルベックやプティット・シラーの単一品種ワインや、高樹齢のジンファンデルまで、個性あふれるワインを造っています。パットと同じレストラン業界から転身したグレン・ヒューゴは、ジラードのハーベスト・インターンから始まりワインメーカーになった人物です。現在は次々と新しい事にチャレンジし、昔ナパでも造られていたというローヌ系品種のフィールドブレンドを復活させたり、米・仏・ハンガリー産の樽材を組み合わせて小樽を作る「フュージョン・バレル」を樽メーカーと開発したり、様々なプロジェクトに取り組んでいます。また、2018年に完成したカリストガのワイナリーでは独自のグリーン・プログラムを導入し、太陽光パネルでワイナリーで使用する95%の電力をまかない、夜間の冷気を利用したセラーのクーリングシステムを採用し、また、気候変動による干ばつ問題が深刻になりつつある中、水の再利用や最低限の水で樽を洗浄できるマシンの導入など、あらゆる分野でサステイナブルなプログラムを実践し、将来の世代に繋がるワイン造りを目指しています。