ムルソーの名門が手がける、コート・ドールの個性を精緻に映し出したシャルドネ。
ドメーヌ・ファビアン・コシュは、1940年創設のムルソーの老舗ドメーヌ。祖父ジュリアン・コシュ・デュボーが礎を築き、父アラン・コシュ・ビズアールが評価を確立。現当主ファビアン・コシュは1973年生まれ、ドメーヌを継承すると同時に、長年ムルソーの生産者組合で要職を務め、この地に欠かせない存在として確固たる地位を築いてきました。
コシュ・デュリーやジャン=マルク・ルーロと親戚関係にあることからも分かる通り、まさにムルソーの名門の系譜に連なる生産者です。
現在は約12ha、28のアペラシオンを手がけ、コート・ド・ボーヌだけで約40のリューディを所有。すべての区画をオーガニックで栽培し、各リューディの個性を深く理解したうえで、品質最優先のワイン造りを行っています。
醸造とスタイル
本キュヴェは、ムルソーAOCに隣接する9区画(計2.0ha)から収穫。樹齢35〜40年、密植率10,000本/haという高密度栽培により、凝縮感と緊張感を備えた果実が得られます。
樽発酵・樽熟成(新樽15%)を11ヶ月行った後、ステンレスタンクに移し、シュール・リーでさらに7ヶ月熟成。
瓶詰時には清澄・濾過を行わず、果実本来の質感とエネルギーをそのまま表現しています。近年はSO₂添加量をさらに抑える試みとして二酸化炭素を使用しており、抜栓直後にごく軽い発泡を感じる場合がありますが、時間とともに落ち着き、果実の輪郭がより明瞭になります。
テイスティングノート
柑橘の皮、白桃、洋梨に、ほのかなナッツやバターのニュアンス。
口に含むと、張りのある酸と緻密なミネラル感が骨格を形成し、樽の要素は控えめで洗練された印象。ムルソーに隣接する立地らしい厚みと、コート・ドールらしい緊張感が共存した、完成度の高いシャルドネです。
品種
シャルドネ 100%
総評
コート・ド・ボーヌのクリマを知り尽くしたファビアン・コシュが、その哲学と技術を余すことなく注いだブルゴーニュ・コート・ドール。
ムルソーの名門らしい精度と透明感を備えた、信頼感のある一本です。