元の畑のオーナーであるディック&ナンシー夫妻がこの地に到着した際に数千羽のカナリアを目にした事から、日本語で「カナリアの丘」という名を持つこの畑ですが後にこの黄色い鳥はカナリアではなかったことが判明しました。
この畑を気に入ったケンは2006年にディック&ナンシーから譲り受け、周りは放牧場だったこの地を信じてブドウを植えた彼らに敬意を表して、夫妻が最初に植樹をした場面をラベルに描いています。
カーターヴィンヤードが西向きであるのに対しカナリーヒルは東向きにあることから柔らかい日光を浴び、ブドウの皮は薄く繊細なピノノワールに仕上がります。
ジューシーなブラックベリー、ボイズンベリー、プラムが、掘り起こした大地、木いちご、オレンジの果皮の魅力的なオーガニック香に包まれています。
バランスの取れたタンニンが複雑な余韻とともに口中を満たします。
2022年はケン・ライト・セラーズにとって奇跡的なヴィンテージとなりました。
母なる自然は我々を驚かせ続けます。
記録的に遅い寒冷前線が新芽に大きなダメージを与え、収穫可能な果実が存在するかどうかが危ぶまれましたが、最初の奇跡は、記録的な豊作だったことです。
そして2つ目の奇跡は、収穫期の10月が記憶に残るほど乾燥し温暖に終わった事です。
ケン・ライトは2015年にオレゴンで初めてワインスペクテーターの表紙に取り上げられ、オレゴン・ピノノワール業界におけるその功績と地元での慈善活動が9ページにわたり紹介されました。
シングルヴィンヤード・ワインを得意とし、40年にわたり世界中で彼のワインは称賛され続けています。
ピノ・ノワールという品種は私たちの知るどの食べ物とも飲み物とも異なり、私たちと「畑・大地」を結びつける素晴らしい力を持っています。
それはまるで真っ白なキャンバスのようにブドウがそれぞれの土地の香りやフレーバーを吸収し表現するとケンは語ります。
ウィラメットヴァレーAVAは全て同じではなく、サブAVAを制定し、細分化の必要性を最初に説いたのもケンでした。
ケン・ライトがいなければ、今日のオレゴン・ピノノワールがここまで特殊性を持つこともなかったでしょう。
ケンはピノノワールの個性と土壌の関係性も明確にしており、海洋性堆積物土壌のピノはフローラルでスパイスにフォーカス、火山性堆積物の土壌ではより果実味に富んだワインに仕上がる傾向にあると述べています。